エンジニアやコンサルが使う難しい言葉、なんで普通の言葉じゃだめなの?意味と理由を整理してみた
エンジニアやコンサルが使う難しい言葉、なんで普通の言葉じゃだめなの?意味と理由を整理してみた
エンジニアとして仕事してると、日常会話じゃ絶対聞かないような硬い言葉が普通に飛び交う。
例えば、
「この対応の蓋然性は?」
「現在、アクセスが輻輳しています」
最初に聞いたときは、
「普通に『可能性』とか『混雑』でよくない?」
って素直に思った。
あと、自分の教養のなさが浮き彫りになった。。。
「可能性」でいいところをわざわざ「蓋然性」と言ったり、「食い違い」でいいところを「齟齬」と言ったりする。
しかも、専門的なIT技術用語ならまだわかるけど、ただの硬い日本語まで普通に登場するからややこしい。
そこで今回は、現場でよく出くわす難解用語について、
- 普通の言葉にすると何なのか
- なぜわざわざ難しい言葉を使うのか(普通の言葉じゃだめなのか?)
- 自分も無理して使う必要があるのか
をエンジニア目線で整理してみた。
【要約】よく聞く難解IT・ビジネス用語と普通の言い換え一覧
| 言葉 | 普通に言うと(直感的な言い換え) | 専門用語か? | なんで使われるの? |
|---|---|---|---|
| 瑕疵(かし) | 欠陥、バグ、不具合 | 契約・法律用語 | RFP等の要件違反に対する責任(無償改修等)を問うため |
| 蓋然性(がいぜんせい) | 確率の高さ、確からしさ | 硬い日本語 | 単なる「可能性」より「高確率」を強調したい時 |
| 冪等性(べきとうせい) | 何回実行しても結果が同じ性質 | IT専門用語 | 「1回でも複数回でも効果が同じ」を1言で表せるから |
| 齟齬(そご) | 食い違い、認識のズレ | 硬い日本語 | 「認識のズレ」を短く伝えるため |
| 輻輳(ふくそう) | アクセス集中、大混雑 | ネットワーク用語 | 通信が詰まって処理不可な状態を一言で表すため |
| 乖離(かいり) | 大きくズレている | 硬い日本語 | 理想と現実、計画と実績の「大きな差」を表すため |
| MECE(ミーシー) | モレなく、ダブりなく | ビジネス用語 | 整理の基本方針を共通言語にするため |
| 一義的(いちぎてき) | 誰が見ても一意に決まる | 硬い日本語 | 解釈のブレを無くしたい設計書などで便利だから |
| 顕在化(けんざいか) | 隠れていた問題が表に出る | 硬い日本語 | 「もともと潜んでいた」というニュアンスを含めるため |
| 遡及(そきゅう) | 過去にさかのぼって適用する | 契約・ビジネス用語 | 契約更新時などに過去の効力を扱うため |
| 粒度(りゅうど) | 詳細さ、細かさのレベル | ビジネス用語 | 話の抽象度・解像度を合わせるため |
| 網羅性(もうらせい) | 抜け漏れがないこと | ビジネス用語 | テストや仕様が全パターンカバーできてるか確認するため |
| 妥当性(だとうせい) | 目的・条件に対して適切か | ビジネス用語 | 単なる「正しさ」ではなく条件に合致してるか評価するため |
| 踏襲(とうしゅう) | 前のやり方をそのまま引き継ぐ | 硬い日本語 | 「ゼロから作らず前例にならう」ことを伝えるため |
| 可用性(かようせい) | システムが止まらず動き続けること | IT専門用語 | 稼働率や止まりにくさを一言で表すため |
そもそも、なんでわざわざ難しい言葉を使うの?
調べてみてわかったのは、「格好つけたいだけ」なケースもあるけど、大半は「長ったらしい説明を短く省略するため」 っぽい。
言葉の定義に関するISO規格(ISO 704:2022)とかでも言われてるけど、専門分野の言葉って「いちいち長文で説明するのがダルいから、名前をつけて短縮しよう」という発想でできている。
ITでもまったく同じ。
例えば「同じ処理を何回送っても、1回送ったときとサーバー側の結果が同じになる性質」なんて毎回言ってたら会話が終わらない。
そこで「冪等性(idempotent)」って名前をドカンと一言置いて会話を短縮してるわけだ(これはHTTPの仕様書RFC 9110でもバシッと定義されてる立派な技術用語)。
つまり、
長文で説明するハメになる概念を、短く一言で済ませるためのショートカットキー
として使われてるケースが多い。
ただ、中には「蓋然性」や「顕在化」みたいに、単に日常会話じゃ使わないだけで普通の硬い日本語ってパターンも混ざってる。
ここを分けて考えると、かなりスッキリ理解できる。
よく出てくる難解用語と「普通の言葉」への変換
1. 瑕疵(かし)|「バグ」や「不具合」じゃだめなの?
普通に言うと
欠陥、不具合、バグ。
ITの現場だと、
「納品されたシステムに瑕疵がある」
「瑕疵担保責任(契約不適合責任)の期間が〜」
みたいな会話で出てくる。
「要はバグのことでしょ?」って思いたくなるけど、単なるプログラムの凡ミスというより、「契約上つくると約束したレベルに達していない不具合」 というニュアンスが強い。
ここにはシステム開発ならではの「責任問題」がガッツリ絡んでくるっぽい。
システム開発って、基本的には発注側が「どんな技術があるか教えて(RFI:情報提供依頼書)」と情報を集めて、「こういうシステムを作ってくれ(RFP:提案依頼書)」と具体的にリクエストを出して契約を結ぶ。
で、受注側(エンジニア・ベンダー)が「作れます!」って引き受けたのに、納品されたものがRFPで決めた要件を満たしていなかったり、動かなかったりすると「瑕疵(契約不適合)」になる。
単に「あ、バグありました〜直しまーす」で済めばいいけど、瑕疵と認定されると 「契約違反だから無償で納期までに直せ」「損害賠償を払え」といった法律上の責任を追及されちゃう。
民法改正で言葉自体は「契約不適合責任」に変わりつつあるけど、契約書や現場の会話ではいまだに「瑕疵」が大量に残ってる。
だから、仕事で「これ瑕疵だよね?」って言われたら、単なるバグ報告じゃなくて 「お前ら責任取って無償で直せよ」という重いプレッシャーが裏に含まれてる可能性があるから注意した方がいい。
2. 蓋然性(がいぜんせい)|「可能性」じゃだめなの?
普通に言うと
そうなる確率の高さ。確からしさ。
例えば、
「この障害が再発する蓋然性が高い」
と言われたら、
「この障害、また起きる可能性がかなり高いっぽい」
と脳内変換すればOK。
「『可能性』でよくない?」って本気で思うんだけど、どうやら「可能性」だと1%でもあれば「可能性がある」と言えちゃうのに対して、「蓋然性」は**「客観的に見て、そうなる確率がかなり高い」** というニュアンスを出したい時に使うらしい。
個人的には、今回調べた中でもトップクラスに「普通に『高い確率で〜』って言えよ」と思った言葉だった。
(初めて聞いたよ。。。)
3. 冪等性(べきとうせい)|何でわざわざこんな難しく言うの?
普通に言うと
何回同じ処理を実行しても、最終的な結果が変わらない性質。
これはイキり日本語ではなく、正真正銘のガチなIT技術用語。
例えば、
PUT /users/1
name=佐藤というリクエストを1回送ろうが、ボタン連打して3回送ろうが、最終的にDB上の名前は「佐藤」のまま。結果は変わらない。
この性質を「冪等性(idempotent)」と呼ぶ。
HTTPの仕様(RFC 9110)でもバシッと定義されていて、決済システムやAPI設計では超重要。
これは「難しく言っている」わけじゃなくて、「この重要な性質を一言で言い表す単語がこれしかない」 から使われてるパターンの代表格。
4. 齟齬(そご)|「ズレ」じゃだめなの?
普通に言うと
食い違い、認識のズレ。
例えば、
「ユーザーと開発者の認識に齟齬がある」
なら、
「ユーザーと開発者で言ってること(思ってること)がズレてる」
という意味。
IPA(情報処理推進機構)の資料とか見ても「発注者と開発者の認識の齟齬がプロジェクト炎上の原因」みたいに書かれてる。
「認識のズレ」って言えば一発で伝わるのに、、、って思うけど、
要件と実装に齟齬がある
って書き慣れると、確かに短いしなんかプロっぽく見えるから使われがちなのかも。
5. 輻輳(ふくそう)|「混雑」じゃだめなの?
普通に言うと
アクセスや通信が集中しすぎて、処理が追いついてない状態。
例えば、
「現在、アクセスが輻輳しています」
なら、
「アクセス殺到してサーバーパンクしかけてる」
ということ。
これも単なる難しい日本語というより、ネットワークや通信の専門用語。
単に人が混んでいるだけじゃなく、「通信回線やサーバーの処理能力を超えてパケットが詰まってる」という状態を表している。
インフラ回りで、あえて使う場合が多い気がする。
障害連絡とかでよく出てくる言葉。
6. 乖離(かいり)|「差がある」じゃだめなの?
普通に言うと
大きなギャップがある、離れすぎている。
例えば、
「見積もりと実績に大きな乖離がある」
なら、
「見積もりと実際かかった工数がズレまくってる」
ということ。
単なる「違い」というより、「本来あるべき姿や計画から、現実が大きく離れてしまっている」 というネガティブなギャップを表す時によく使われる。
7. MECE(ミーシー)|「漏れなく整理して」でよくない?
普通に言うと
モレがなく、ダブりもない状態。
「Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive」の頭文字をとったコンサル用語。
例えば、
社員
├─ 正社員
└─ 非正社員みたいに分ければ、漏れもないし重複もない。
ただ、現場で「これMECEに整理しといて」って言われた時は注意が必要。
どこまで細かく分ければ「漏れがない」と言えるかは人によって違うから、単に「綺麗に分類して」くらいの意味でアバウトに使ってくる人も多い。
正直、現場レベルでは「綺麗に分類しといて」という意味で使ってる人が多いイメージ。
8. 一義的(いちぎてき)|「意味が1つ」でよくない?
普通に言うと
誰が読んでも解釈が1つにしか決まらないこと。
設計書とかで、
「一義的に解釈できるように記載すること」
と言われたら、
「読む人によって受け取り方が変わるような曖昧な書き方はするな」
という意味。
「Aとも取れるしBとも取れる」みたいな仕様書は事故のもとになるから、設計の現場では割と大事な概念だったりする。
ここからは「IT専門用語」というより仕事で頻出する硬い日本語
9. 顕在化(けんざいか)|「問題が出た」じゃだめなの?
普通に言うと
ずっと隠れていた問題が、目に見える形で表に出てくること。
例えば、
「潜在していたリスクが顕在化した」
なら、
「前からヤバそうだった問題が、ついに表に出ちゃった」
という意味。
ただ「問題が発生した」と言うのと違って、「もともと裏に潜んでいたものが、ついに吹き出した」 というニュアンスが含まれている。
10. 遡及(そきゅう)|「さかのぼる」じゃだめなの?
普通に言うと
過去の日付にさかのぼってルールや契約を適用すること。
契約の変更とかで、
「4月1日に遡及して適用する」
と言われたら、
「いまは6月だけど、4月1日からの出来事として扱うよ」
という意味。
これもIT用語じゃなくて完全に法律・契約用語。
保険とか、契約更新が遅れた時とかに、現場でよく耳にする。
11. 粒度(りゅうど)|「細かさ」じゃだめなの?
普通に言うと
話や資料の「細かさ」のレベル。
「この資料、粒度が細かすぎる」
なら、
「細かく書きすぎて全体像が見えない」
ということ。
ただし注意したいのが、「粒度を上げる」と言われた時。
- 「もっと具体的に細かくする」という意味で使う人
- 「もっと抽象化して全体像をまとめる(粗くする)」という意味で使う人
が現場に混在してる。
「粒度を上げてください」と言われたら、「具体的にはどのレベルまで書けばいいですか?」って絶対確認したほうがいい。
じゃないと大変なことになる。(実体験)
12. 網羅性(もうらせい)|「全部あるか」じゃだめなの?
普通に言うと
必要なパターンが漏れなく揃っているか。
「テストケースの網羅性を確認する」
なら、
「テストの抜け漏れがないか全パターンチェックする」
ということ。
「全パターンやった?」って聞くより「網羅性は?」って言った方がプロっぽく聞こえるからか、テストの現場では日常茶飯事で使われる。
13. 妥当性(だとうせい)|「正しいか」じゃだめなの?
普通に言うと
その判断や仕様が、目的・条件に合っているか。
「この設計の妥当性を検証する」
なら、
「この設計で本当に問題ないか、条件に照らして確かめる」
という意味。
単に「正解か不正解か」ではなく、「今の状況や予算、目的に照らし合わせて適切と言えるか?」 というニュアンスがある。
14. 踏襲(とうしゅう)|「前と同じで」じゃだめなの?
普通に言うと
今までのやり方や前例をそのまま引き継ぐこと。
「既存システムの方式を踏襲する」
なら、
「前のシステムのやり方をそのまま真似してつくる」
ということ。
ゼロから考えるのが面倒な時や、前例と同じにしてリスクを減らしたい時に大活躍する言葉。
15. 可用性(かようせい)|「止まらないこと」じゃだめなの?
普通に言うと
システムが止まらずに、いつでも使える状態をキープできる度合い。
「可用性を高める設計にする」
なら、
「サーバーが死んでも予備に切り替えて、システムを落とさない作りにする」
ということ。
これもITインフラの超重要ワード。
「信頼性」とか「堅牢性」と一緒にセットでよく出てくる。
ちなみに、こんなインテリっぽい言葉もたまに出てくる
調べてる中で「日常会話じゃ絶対言わんやろ」と思った言葉も表にしておいた。
| 言葉 | 普通に言うと |
|---|---|
| 敷衍(ふえん) | 意味を広げて詳しく説明する |
| 端緒(たんしょ) | きっかけ、手掛かり |
| 所与(しょよ) | 最初から与えられている前提条件 |
| 勘案(かんあん) | いろいろ考慮に入れる |
| 暫定(ざんてい) | とりあえず仮で決めておく |
| 堅牢性(けんろうせい) | 壊れにくさ、タフさ |
| 整合性(せいごうせい) | 矛盾がなくてツジツマが合っていること |
| 履行(りこう) | 約束や契約を果たして実行すること |
| 準拠(じゅんきょ) | ルールや標準に従うこと |
このあたりは自分で使う必要は一切なくて、「言われたら『あー、あれね』ってググれる程度」で十分。
結局、難解用語は全部覚えたほうがいいの?
調べる前は、
「難しい言葉使うやつって、ただ格好つけたいだけなんじゃないの?」
って思ってた。
でも実際に整理してみると、ちょっと印象が変わった。
たしかに、
「認識に齟齬があります」
より、
「認識がズレてます」
って言われた方が直感的にわかりやすい場面は多い。
だけど一方で、
「このAPIには冪等性を持たせる」
みたいに、「一言で言わないと説明が超長くなる概念」 に関しては、専門用語を使った方が圧倒的に会話が早い。
つまり難しい言葉には、
- 短縮ショートカットとして優秀な技術用語(冪等性、輻輳、可用性など)
- 仕事上、ブレなく伝えるための言葉(一義的、妥当性、網羅性など)
- 法律・契約上の理由で使わざるを得ない言葉(瑕疵、遡及など)
- 単に日常じゃ使わないだけの硬い日本語(蓋然性、齟齬、乖離など)
の4パターンがあるっぽい。
全部を「イキり言葉」って一括りにするのは違うんだなと納得した。
自分でも使えるようになる必要はあるの?
結論から言うと、「意味は知っといた方がいいけど、無理に自分で使う必要は全くなし」。
別に「齟齬」って言葉を使わなくたって、
「ここ、認識が食い違ってますよね」
って言えば仕事は100%回る。
ただ、相手(特にコンサルやベテランエンジニア)が会議で、
「この2つの資料に齟齬があるんですが〜」
って言ってきた時に、
「そご……?(フリーズ)」
ってなると話に置いていかれる。
だから、
自分が使ってマウントをとるためじゃなく、相手の話をノータイムで理解するための防具
として持っておくのが一番賢いスタンスだと思う。
まとめ
今回調べてみてわかったのは、難しい言葉を使ってる人全員が格好つけてるわけじゃなくて、長い説明を端折るためのツールとして使ってる場合も多いということ。
エンジニアとして仕事していくなら、
- 技術用語(冪等性・輻輳など): パッとイメージできるようにしておく
- 硬い日本語(齟齬・蓋然性など): 相手が言ったら脳内変換できるようにしておく
- 契約用語(瑕疵・遡及など): 契約書で出てきたらググる
くらい割り切っておけば全然OKかなって思った。
次から難しい言葉で会話されたら、「自分も使わなきゃ」みたいな、よくある中二病を発症するんじゃなくて
「要するに、何をショートカットして言ってるんだ?」
って部分をきちんと意識して会話することが大切だと思った。
また一つ賢くなった(、、、はず。きっと。めいびー)